看護師の仕事は明確な定年制度はなく、雇用主の都合が大きく影響する。国や地方自治体が運営する病院での勤務なら公務員扱いになるので、定年も公務員に準拠したものになる。また、民間経営の病院やその他の施設ならそれぞれの雇用主が独自に定年の年齢を定めているので、それに沿って退職の手続きを取るのが普通だ。その一方で、看護師の仕事は慢性的な人手不足になっていることから、退職した後にパートなどの雇用形態で再就職するのが慣習化している。高齢に至っても、第一線で働き続けることができる点では看護師の定年事情は他の職業と異なる特徴があるが、人員の高齢化が進みやすいのも問題だ。

経験豊富なベテランが重宝される一方で高齢化による体力の低下は仕事の効率の低下に繋がり、思わぬミスを引き起こす可能性もゼロではない。そのため、場所によっては年齢を理由に看護師の再就職に制限を設けている所もある。また、看護師は結婚や出産を理由に退職してから後年になって再び現場に復帰するケースも少なくない。

人手不足の施設なら高齢でも再雇用されやすいメリットがある反面、ブランクも長いことから看護業界の事情の把握が困難になり、仕事に支障が及んでしまうこともある。看護師の仕事は何歳になっても続けることができるが、加齢による身体能力の低下は確実に仕事の質を落としてしまうだろう。看護師は人の命をあずかる仕事なので、長く働くには自身の体の具合に細心の注意を払うことが重要だ。看護業界で定年に関係なく看護師として働き続けたいのであれば、年齢制限を設けていない職場を探してみるのもよいだろう。